工業用カメラメーカー・製品一覧！概要や用途、種類などについても解説

工業用カメラの特徴

工業用カメラは、一般的な民生用カメラとは一線を画す産業向け撮像機器です。製造ラインにおける外観検査・品質管理・計測などの現場で「高精度の目」として機能します。24時間365日の連続稼働や粉塵・振動など過酷な環境下での使用を前提に設計されており、近年は画像処理技術の進歩によって性能が飛躍的に向上しています。以下では、工業用カメラならではの主要特徴を解説します。

1. 高い耐環境性能

多くのモデルが IP67 等級（防塵・防水）に準拠し−10 ℃〜50 ℃の温度範囲で安定動作します。振動・衝撃は最大 10Gに耐え、半導体工場向けクリーンルーム対応機ではパーティクル発生を抑える特殊コーティングを採用。さらに EMC 規格準拠により電磁ノイズ耐性も強化されています。

2. 高精度な画像取得能力

最新 CMOS センサー搭載モデルでは、4096 × 3000 px（1,200 万画素）の解像度で微細欠陥を検出可能。フレームレートは標準で60 fps、ハイスピードタイプでは1000fps以上に達します。ダイナミックレンジは 70 dB 超、低照度0.1 lxでもノイズを抑えたクリア画像を実現。色差 ΔE*ab ≦ 1.5 の高い色再現性モデルも登場しています。

3. 柔軟なインターフェースと通信規格

USB 3.0（5 Gbps）や Gigabit Ethernet（1 Gbps）に加え、CoaXPress 2.0（12.5 Gbps）、Camera Link HS（16 Gbps）など超高速規格に対応。GenICam・GigE Vision・ONVIF などの標準プロトコルをサポートし、メーカー間の互換性を確保します。外部トリガー同期精度は10 µs以下。エッジ AI エンジン搭載機はカメラ内で画像認識を完結でき、ホスト PC へのデータ転送量と処理遅延を大幅に削減します。

工業用カメラの種類

製造現場で使われる工業用カメラは、人間の目では見落としがちな細かな不良や異常を検出できる「製造業の目」とも言える存在です。通常のカメラと違って、過酷な環境でも安定して動作し、高速で連続撮影できるよう設計されています。最近では画像処理技術やAIとの連携により、自動検査システムの中核として活躍しています。

サーマルカメラ

サーマルカメラは赤外線を検出して物体表面の温度分布を非接触で可視化するタイプです。電子基板のホットスポット検査や食品製造ラインの異物混入チェック、建築物の断熱性能評価など、温度差を利用した異常検知に幅広く使われています。温度情報が色分布として表示されるため、肉眼では見えない欠陥や発熱箇所を迅速かつ高精度に特定できるのが特長です。

エリアスキャンカメラ

エリアスキャンカメラは一般的なデジタルカメラに近い構造で、二次元の画像を一度に取得します。電子部品の実装検査や寸法測定など、静止した対象物の詳細な検査に向いています。解像度や撮影速度など様々なタイプがあり、検査内容に合わせて選べるのが特徴です

3Dカメラ

3Dカメラは対象物の立体形状を計測できるカメラです。レーザー光や特殊な照明パターンを使って対象物の高さ情報を取得し、部品の組み付け確認や形状不良の検出に活用されています。自動車部品や精密機械の製造ラインでは、微細な段差や傾きも検出できるため、品質管理の精度向上に貢献しています。